Wakka
50年暮らしてきた北海道の大地での積み重ねを自分なりに加えた映画制作に挑みました。タイトルは「Wakka」アイヌ語で水を意味します。
「Wakka」は、25年間の休止期間を経て2018年に作家活動を再開した中島洋による、渾身の映像。撮影監督として写真家・露口啓二が参加していることで、めぐる水の気配を滲ませる「どこかの土地」の風景は、露口ならではの表現の印象が強い。しかし、歩き、舞い、座して祈る人間と、自然との交感を映像と音のみで綴りあげたこの作品は、80年代より実験映像を手がけてきた表現者・中島の手腕を示し、北海道の美術に確かな足跡を刻んだ。
(北海道新聞2023年7月26日(水)夕刊 久米氏の美術季評)